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真夜中のトイレ、タイムスリップ、「君の名残を」

真夜中にトイレに起きた。
静かで暗い、淀んだ空気の居間と廊下を通ってトイレに入る。
たまにドタッという音がする。
上の階の住人の気配だ。
頭がぼんやりしたまま、便座に腰掛ける。
気付けば目の前の壁をぼーっと見ている。
目を開けているのに眠っているようなおかしな感覚。
そんなときは必ず、ドアを完全に閉め切らない。
少しの隙間だけ開けておく。


子供の頃、テレビで見た怪談が忘れられない。
夏、怪談の盛り上がる季節の特番か何かで放送された、
何本もの短いドラマのうちの一つだ。

夜中、トイレに起きた子供。
トイレを済ました子供がドアを抜けた瞬間、
そこは鎧武者たちが死闘を繰り広げる夜の森の中なのだ。
あたりを見回しても、もうどこにもドアは無い。
泥と血にまみれた、亡霊のような鎧武者たち。
彼らの刀や鎧が激しくぶつかり合う音。
不気味にざわつく木々。
露にぬれた足元の草。
自分の素足。
場違いな薄手のパジャマの裾。
子供は言葉も出ずに立ち尽くす。
鎧武者の1人が不意に振り向き、何の躊躇もなく子供の頭上に刀を振りかざす。
「きゃー!」

と、いうところでドラマが終わる。

そこから結構長い期間、私は、ドアを閉める度、次にドアを開けた途端に別世界だったらどうしようと
本気で怯え続けた。
幽霊譚で怯える感覚より、もっと切実に恐ろしかった。
だって実体のある鎧武者は、私を本当に切り殺すのだ。
血や命に直結した恐怖。
そしてそれ以上に、人間の運命を翻弄する、冷徹で得体の知れない大きな力への恐怖。

それが焼きついていて、未だにドアという境界線が嫌いだ。
現実に私がタイムスリップしてしまうことは、きっと無いだろう。
けれど、人間がちっぽけで、自然や運命に翻弄されることは確かで、
私にとってドアがその運命の暴力の象徴なのだ。
本当は、何が起きても、結局は全力で生きるだけのことだ。
とはいえやっぱり、トラブルはご免。ドアにご用心だ。


タイムスリップといえば、
浅倉卓弥「君の名残を」

君の名残を


主人公達が飛ばされるのは、源平の合戦の時代。
現代に戻るすべはなく、互いが同じ時代に存在することも知らず、
乱世の中それぞれの場所で大人になっていく。
やがて気付かされる、運命が彼らという駒に与えた役割。
有無を言わさず投げ入れられたその土俵で、
葛藤しながら自由意志を持った1人の人間として精一杯生きる姿が美しい。


今日も読んでくれてありがとう。
このごろ暑いよね。夏バテとか大丈夫?
じゃあ、またね。
よい3連休を。
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Author: みほ
生きる日のよろこび、悲しみ。
一日一日が新しい彩りをもって
息づいている。
(By岡本太郎)

本と植物のお話が中心です。

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